お知らせ

「池尻の家」のオーナー様にレビューを頂きました。

「自分たちの生き方を投影できるような家を望むこと」

世界中に一つしかない場所。

大型犬が2頭。エレベーターが必要。
屋上は広め。浴室も広め。床はタイル張り。
寝室は2つ。トイレも2つ。急な勾配の階段は避けたい。
ボルボが駐車できるガレージ。外観は、、、、。

池尻の狭い土地にはおよそ入りきれない、
滝のように押し寄せる「願望」を、
山本さんは黙って聞いていてくれました。

「面白そうですね。制約が多いほど、やりがいもあります」

山本さんは、笑みさえ浮かべながら、
私たちの依頼を引き受けていただいた。
しかしその日から、プランニングでは、
ミリ単位の熾烈な攻防が始まることとなった。

「階段を、こうやって使ったら、どうでしょう」

何回目かの打合せを経て見せていただいたプランでは、
1階から3階までを長い階段が家を囲むように続いていた。
多くの住宅では、階段は隅っこに追いやられる
ことが多いようだが、このプランでは、階段が主役だった。

「これなら、階段の段差も低くできますし、
ワンちゃんも登りやすいかと思います」

私たちは、ひと目で気に入った。
「これにしましょう」と言おうとして山本さんを見ると、
何やら考え込んでいらっしゃった。

施主がオーケーを出していても、
まだ考え続けようとする山本さん。
そしてその次の打ち合わせでは、さらに私たちの
想像をはるかに上回る提案があった。

それは、屋上についての改善案だった。

プランには、ニューヨークのソーホーの
アパートメントのように、家の外周に鉄骨階段が描かれていた。
もともとシンプルな外観のイメージだったが、
鉄骨階段があることで、下から上への視線の流れが生じ、
また室内に見える階段のイメージとも重なって
個性的な家のフォルムになっていた。

他にも、私たちの家には、たくさんのアイディアが
ぎっしり詰め込まれている。

たとえば、3階の開放的なカウンター。
窓からは大きな空が広がり、
リビングの気配も感じることができる場所だ。
2つの寝室は、天井からの光が差し込む空間設計のおかげで、
スペック以上に広さを感じることとなった。

リビングには、犬たちの食事スペースともなる「ワンルーム」が
ある。大きなガラス張りのドアにより、犬たちとも一体感を
保てている。

1階から3階まで続く階段のため、四方から差し込む光が美しく、
さまざまな角度からの視点により、家の表情が変わるのが面白い。

1階は、全面タイル張りとしてもらった。
犬の足跡で床が汚れても掃除しやすく、汚れも落としやすい。
壁面は大容量の収納スペースとして
埋め尽くし、作業スペースも確保されている。

コンパクトにして、無駄なスペースがなく、
土地の広さとは裏腹に、とても開放的な気持ちで暮らす毎日だ。

私たちが家を建てるにあたり、まず考えたのは、
自分の人生の大事な時間を過ごす場所は、
特別なものでありたい、ということだった。
そう願うと、平準化された退屈な間取りやデザインでなく
自分たちの生き方を投影できるような家を望むこととなった。

山本さんの仕事は、住むためのスペースという家の概念を、
はるかに超えている。
住む人のイメージや思いを読み取り、その先を想像し、表現する
ことで、世界のどこにもない、特別な場所を生み出す仕事だ。

山本さんをはじめ、ご担当いただいた山沢さん、
そしてこの家づくりに携わってくださった全ての方々に
限りない謝意を捧げたいと思う。

「池尻の家」   出典「houzzレビュー」

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